ゆるパス4



【パンセ-528】


次のような挨拶を聞くと、私は気分を害した。
 
「ご苦労おかけしました。ご迷惑ではないでしょうか。
長すぎはしませんか。」
 
その通りだと思われるか、さもなければ、
いらいらされるのが落ちだ。





【解説】
 

 私たちは普段の生活の中で、
多くの人とコミュニケーションをとります。

その中には、
目上の人や年上の人など気を使うべき場面も
多々あります。
 

 その時に、
よく使いがちな表現といえば、
自分がへりくだる表現です。



「大変申し訳ないですが
「お手数おかけいたしますが
」などなど、
特に日本において、
この手の表現は枚挙にいとまがありません。



 相手の気分を害さずに
円滑にコミュニケーションをするためには、
このような表現は必要不可欠なように見えます。


しかし、
パスカルは、
合理的に考えれば、
このような「自分がへりくだる表現」は、
なんにせよ自分が損しかしないような
表現だと言うのです。




 たとえば、
「大変申し訳ないのですが
」と言われた側は、
もともと、なんでもなかったはずなのに、
そう言われると
「この人は失礼なお願いをしている」
と思ってしまうかもしれません。

 

 また、
へりくだったことばかり言っていると
「よそよそしくされて、話しかけにくいな」
「要件を早く話してくれ」
と相手にイライラされることが
あると思います。

 

 一方、
へりくだった表現を用いて
褒められることもあまりありません。

「いやいや、そんなことありませんよ」
というおきまりの返事を
引き出すのが関の山でしょう。
 


 このように、
あまりにへりくだり過ぎることは、
返って逆効果になってしまいます。


 確かに、
多少の敬語は
相手とのコミュニケーションに必要なものです。


ですが、
あまりにもへりくだることは、
双方にとって損しかありません。

 

 また、人と話す時、
自分を必要以上に低めたり、
小さく見せたりする必要もないのです。


丁寧すぎる言葉遣いよりも、
そこまで気にせずに、
ほどほどの表現をすることが
ベターなのです。



 このような言葉の表現は、
一見些細なものに見えますが、
コミュニケーションを大きく左右する重要な要素です。


パスカルが人間観察の達人であるからこそ、
その言葉に私たちもハッとさせられるのです。


 

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