ゆるパス5




【パンセー632】

人間は小事には敏感、大事には鈍感だ。
奇怪な転倒のしるし。







【解説】


 「月曜日からまた仕事だ。」
「テレワークが終わってしまう
。」
「人付き合いがめんどくさい
。」



 私たちは毎日の生活の中で、
様々な悩みを抱えます。

仕事、人間関係、家事、
恋愛、勉強、社会生活などなど、
悩みの種は尽きることはありません。

 

 私たちは、
このような悩みにはとても敏感で、
その行方に一喜一憂するものです。


ですが、
パスカルにとって、
このようなことは
些細な問題にすぎません。


さらに、パスカルは、
人々は小さな悩みには
敏感であるにもかかわらず、
大きな問題を見ようともしないとも
痛烈に批判します。


一体どういうことでしょうか?




 まず、パスカルは、
人間が気づくべき重要な問題を
次のように指摘します。




大して高尚な魂をもっていなくても、
この世に本物の堅固な満足はないこと、
私たちの快楽のすべてはがらんどうであり、
私たちの不幸には際限がないこと、
そして最後に、私たちを時々刻々おびやかす死が、
わずかの年月のうちに、
私たちを永遠の虚無あるいは不幸という
身の毛のよだつ境遇のうちに否応なしに陥れることは、
誰でもわかる。

『パンセ(中)』断章427

 


 ここの引用の言葉はとても強烈なものですが、
要は、「人生には終わりがある」ということが
最大の問題だと指摘しているのです。

 

 しかし、人々は、
日々の悩みにばかり気を取られ、
この本当に向き合うべき最大の問題
見ようともしないと
パスカルは批判します。


このような状態を
「奇怪な転倒」「怪物」と言うのです。



 彼らは最も些細な事柄にいたるまで恐れ、
それを予見し、実感する。


そして
官職を失うとか名誉を毀損されたとか思い込んで、
何日何夜も怒りと絶望のうちに過ごすその男、
それが死によって全てを失うことを知りながら
平然と落ち着いている当人なのだ。

『パンセ(中)』断章427



 このように、パスカルは、
いつか人生が終われば、何もなくなるのに、
そのことに気がついていないと批判するのです。

 

 一方、パスカルは、
自分の人生には終わりがあることを認識することで、
自分の人生を改めて見つめ直し、
幸せへの一歩を踏み出せるとも言っています。




私たちの行動と思考のすべては、
永遠の幸福を希望できるか否かによって、
まったく異なった道をたどるべきであり、
そうであってみれば、
私たちの最終目標であるこの点を見すえて
生き方を規整しないかぎり、
分別と判断をもって人生の一歩を踏み出すことは
不可能である。

『パンセ(中)』断章427




 私たちは日々、
様々な悩みに苛まれます。


しかし、
「いつか人生は終わる」と考えれば、
これまでの悩みは
ひどく小さなものに見えるかもしれません。

 

 もし、
悩みを抱えているのであれば、
自分の人生の終わりと幸せとは何か
考えてみましょう。


そうすれば、
本当の幸せに向かって、
自分がすべきこと見つけ、
一歩踏み出せるようになるかもしれません。






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