ゆるおぱす6



【パンセー802】

時は苦痛と争いを癒す。
それは人が変わるからだ。
もはや昔と同じ人間ではない。




【解説】



 「失恋して辛い
「友達とけんかしてしまって悲しい
」。
 
 

 私たちは何か日常で
トラブルや失敗が起きると、
とても絶望的な気分になりますが、
時間がたてば、
その傷もだいぶ和らいでいきます。


また、
誰かとけんかしても、
時間がたてば、
お互いを憎みあう
気持ちが薄れていきます。


このようなことは、
誰しもが一度は
経験したことがあると思います。




 では、
どうして、時間がたてば、
苦しみやけんかの傷が
癒されるのでしょうか?



その理由をパスカルは
「人間の変化」に求めます。




 人間の細胞の数は60兆個と言われ、
1日当たりに1兆個の細胞が入れ替わると言われています。

この計算だと、
2ヶ月で人体のすべての細胞が入れ替わることになります。


 これと同様に、
人間の心も常に生まれ変わっているのです。


もし、
何もかも昔と一緒ならば、
人は新しい関係を持つこともできませんし、
人間関係の変化に悩むこともないでしょう。




パスカルは
人間が変化することについて、
次のような皮肉な表現をしています。




彼は、
十年前には愛していた
あの人をもはや愛していない。

無理もない。

彼女はもはや同じではないし、彼にしても同様だ。
彼は若かったし、彼女もそうだった。

彼女は今や別人だ。

昔のままの彼女だったら、
まだ愛するかもしれないが。
 

『パンセ(中)』断章 673




 この言葉は、
誰も口にはしたがりませんが、
かなり的を射ていると思われます。


この言葉を読んで、
自分は相変わらず、
その人のことを愛していると思ったとしても、
昔と愛し方や付き合い方は
変わっているはずです。



 このように、
パスカルは人間を
日々刻々と変化するものとして
捉えているのです。




 私たちは他人を見る時には、
つい、
自分の思っている型に
あてはめがちになります。


しかも、
その型をなかなか
アップデートしようとしません。


だからこそ、
昔のままだと思ってしまい、
現実の変化とのギャップに
苦しむのです。

 

 しかし、
私たちは常に変化しているからこそ、
新しい関係を築くことができたり、
何か新しいことを始めたりすることが
できるのです。




 現在、
世の中ではあらゆるところで
「多様性の尊重」が叫ばれています。


しかし、
注意しなければならないのは、
多様性はすでにもともと決まった形であるものではなく、
常に生まれているものだということです。




 私たちは常に生まれ変わります。


それは、
どんな人も例外ではありません。


明日には別人になっていることも
あるのです。



それを含めて「多様性」として認めること、
これこそが、
「多様性の尊重」への第一歩であることを、
パスカルは教えてくれるのです。









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